色とりどりの棒

わかりたい

多摩川のこと

 

自分は多摩のにんげんという意識がなんとなくあるので、そこを流れる川にも愛着がある。多摩川多摩地域を北西から南東へと流れる川で、やはり街の中を流れているイメージが強いけど、その源流は山梨県の山奥で、流域の半分くらいは山中の渓流なのだ。それに「街」のイメージが強い南側も、多摩丘陵の複雑な地形に開発が阻まれて、実は秘境みたいなところが随所に隠れいているのが面白い。家から数キロの範囲でも、まだ たけのこ狩りができる場所 や 蛍が自生している場所 や 探検しないといけない場所 が残っている。

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とにかくそんな立派な多摩川だ。鉄道(私鉄)が鉄橋で多摩川を渡る際には、しばしば駅名に「多摩川」が付く。みんな今から多摩川を渡りますよ、と一度宣言してから渡っている。えらい。具体的には、京王相模原線の京王多摩川小田急小田原線和泉多摩川東急田園都市線二子玉川東急東横線多摩川

……と列挙すると、東急東横線はなんなんだよ、と思う。他の路線は「自分にとっての多摩川は結局これなんですよね。」という自意識をしっかり持って、「○○多摩川」という駅名としているというのに、東横線だけただの「多摩川」とはなんだ。別にあなただけの多摩川ではないのだ、謙遜が足りない。

それから東急にはもうひとつ文句をいいたい。多摩川(駅)から蒲田を結ぶ路線を「多摩川線」と名づけるのは横柄だ。全長138キロもある多摩川流域のうち、たった5.6キロしか並走しないくせにでっかく出たな、と思う。仮に「多摩川線」という名前の路線があるなら、それはもっと川に長く寄り添う、南武線青梅線の方が相応しいように思う。

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多摩川の河口から羽村堰まではサイクリングロードがあって、天気がよければそこを のしぼう (という名前のロードバイク) で走る。サイクリングロードは信号がないから疲れないし、車がないから危なくないし、季節によってはピクニックしている人などもいるから楽しい。檜原に行くにも、奥武蔵や秩父に行くにも、23区に行くにもまずは多摩川に沿って走る。

大学に行くにも、長期休暇で定期券が切れるとよく多摩川沿いに走った。山に登りたくても、海に行きたくても走った。必要に迫られて真夜中に半べそで走ったりもした (あろうことか必要に迫られたときには酒を飲んでしまって、車を運転できなかった)。別に必要がなくてもへらへらして走った。

とにかく、ずいぶんたくさん多摩川を走った。本当にいろいろな場面で、そこに多摩川の景色があったように思う。 

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そういうわけで、この川が結構好きだ。多摩川は奥深い。えらい。昔は汚染が酷かったが、今では中流域でさえ鮎がいるほど綺麗になったらしい。鮎は本当にうまい。それとは関係ないけど、東急多摩川線も大好きだ。駅がみなローカルな感じでよい。特に年代物のベンチが各駅に残っていて、それがとてもよい。

多摩川サイクリングロード、走ってみてください。多摩川線にも、乗ってみてください。よろしくお願いします。おわり。